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中級編B−Kei65.jpg 着物と色鉛筆の合成



 ここでは2000年正月の作品「kei65.jpg」を題材にして、色鉛筆の原画と電子合成の組み合わせを解説します。

 今回は下絵を描いてみたところ柔らかいタッチに仕上がったため、ペンで清書すると質感を殺してしまうと考えて、色鉛筆と友禅千代紙の合成という手を考えてみました。
 昨年の年賀状にも友禅千代紙を使ったのですが、当時は合成ができたことだけで喜んでしまい、いまにして思えば陰影の深さに欠けていたようです。
 というわけで、より豊かなコントラストと質感の実現という課題を念頭に置いて取りかかってみました。

下絵を描く


 まず色鉛筆で下絵を描きます。着物部分は黒白で描いておきます。髪の毛とかは手描きです。
 うちのイメージスキャナ Microtek Scanmaker E3 では、顔とかの白に限りなく近い領域の発色を読むことができず、色鉛筆イメージを扱う度に性能の限界を感じさせられます。
 そのため、今回も画用紙上では結構きつめの彩色をしています。


 友禅千代紙をスキャンします。

 女の子の着物部分にマスクを作成して、千代紙を[コピー]-[貼り付け]します。

 合成モードを[オーバーレイ]にすると、このように千代紙が下地の陰影を反映して、着物らしい仕上がりになります。
 同様に、帯にもマスクを作成して、帯の模様を貼り込みます。

 帯留めのような細かいパーツについては、修正ブラシでモードを[色]に入れて直接塗ります。

 帯留めにも色を付けたらこれで出来上がり・・・といいたいところですが、しかし実は襟の構造を間違えていたりして、このままでは使えません。そこで、一旦レイヤーを全部結合して、この出来上がりに対して修正をかけます。


 まず力ずくで襟をこしらえて、この太陽と月のブラシを使って陰影を補強します。

 これでだいたい出来上がりです。

 本当は背景もPainterあたりで色鉛筆風にフィルタをかけて仕上げたかったのですが、使い方がよくわからなくて時間切れで断念してしまいました。色鉛筆は輪郭がはっきりしないもので、切り抜きのマスクをこしらえるのも一苦労です。
 実物は印刷用にこしらえたので、1500x2000pixel前後のかなり大きめなサイズで作成されています。このサイズだと質感がよくわかるのでサンプルも載せておきます。

 今回の仕上げ時間は、色鉛筆を含めて特急で約6時間。暑中見舞いのときほどのインパクトを出せなかったのですが、成果はまずまず・・・といったところでしょうか。



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